東洋医学に関わっている人はそれぞれポリシーを持っていることも理解しています。
ここで述べることが正解だと主張するものではなく、一つの考え方として受け取っていただければ幸いです。
ツボ。
ツボには夢が詰まっています。
かの一子相伝の拳法の使い手は、その能力を治療に生かして人々を救います。
©集英社/武論尊・原哲夫
しかし、使い方を誤ると体はグシャッと潰れ、こなごなに吹き飛びます。
©集英社/武論尊・原哲夫
ツボには夢がいっぱいに詰まっています。
ツボは何度でも蘇ります。ツボこそが人類の夢だからです。
©スタジオジブリ/宮崎駿
確かにツボを刺激すると体には変化が現れます。
この現象を上手く利用することで治療することができます。
しかしツボは体を自由自在に操るためのスイッチではありません。
残念ながら「痩せるツボ」など存在しません。
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経絡経穴とは?
ツボは正式には経穴といいます。
気血の通り道である経絡に沿って存在し、体と外界をつなぐ気血の門戸が経穴と言われています。
経絡
見える人には、光るエネルギーが経絡を巡り経穴から出入りしているのが見えるのかもしれません。
しかし私はそうは考えません。
気とは「目には見えないけど確かにそこにあるもの」です。
血(けつ)とはそのまま血(ち)でいいと思います。
経絡を流れる気血の流れを止めてみましょう。
上腕を紐で強く縛って、しばらく経ったら縛った先が壊死し始めました。
気血が経絡を巡らなくなったからです。
これは気血が経絡を滞りなく巡っていることで体は健康が保てるということの証明です。
現代でいえば血管や神経に当たるのが経絡と言えそうです。しかし決して血管や神経が経絡ではありません。
経絡とは気血の流れる通り道です。
経穴
経穴は確かにそこに鍼を刺せば、お灸を据えれば体に変化が現れます。
治療する場所を指す概念ではあります。
しかし私は、体の場所を指し示す意味合いのほうが大きいのではないかと考えています。
現代では解剖学という確立された学問があり、書物も豊富にあります。
素晴らしい本と知識が簡単に手に入ります。
それにより、解剖学的な部位の共有が容易です。
第7頸椎と言えば簡単に共通理解が得られます。
これは当時なら大椎と呼んでいたでしょう。
腓腹筋、アキレス腱移行部。
これは当時なら承山と呼んでいたでしょう。
座骨神経は承扶と呼んでいたでしょうし、手関節部の橈骨動脈は太淵と呼んでいたでしょう。
また肩甲骨の外転運動の回転軸。
これは当時なら天宗と呼んでいたでしょう。
「宗」の字は「そのものの主とする、大事な点」という意味があります。
天を指さすとき、動きの主となる大事な点という意味ではないかと考えます。
このように、骨・筋・腱・神経・血管・動き方など。その場所を指し示す共通の語句が経穴だったのではないかと考えています。
ですから、かの拳法によって成される神の所業とも言える効果をツボに期待するということは夢物語であると考えています。
昔の人は超能力者ではない
昔の人は超能力を持っていたが、現代人はそれを失ってしまった。
漫画などではよくある設定です。そのほうが夢があります。
しかし現実には昔の人から見たら現代人のほうがよっぽど超能力者です。
板の中に人が入っていて、指から気を発して板の人を入れ替えるのですよ?
昔も今も、人間の能力なんてそんなに変わるものではありせん。
古典の記された当時のことをイメージしてください。
師匠が弟子に技術を伝ええるときのことを。
そして現代のあなたが師匠から技術を学んでいるときのことを。
解剖学用語を経絡経穴学用語に変換してみてください。
何ら違和感はないのではないでしょうか?
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経穴・ツボを
思い切りよく【体の地名】という地点にまで
視点を変えてしまうと確かに大きなメリットが
あるように思います。
(何が切り落とされたのか
考えるヒントにもなりますし・・・)
現代の解剖学とのなじみが良くなり
共通認識を括りだしていくための土台にして
いくことが出来るのは大きなメリットです。
また、この方向で推していくが故に
見えてくる景色というものもあるように思います。
逆説的ですが、
今まで名人芸とされてきた
ツボ取りの微妙なさじ加減みたいなものも
解剖学的な位置取りから
説明できてみんなに伝えやすく出来るかもしれませんね。
今後の展開楽しみにしています!!